【PDF】ミソフォニア ── Thomas H. Dozier “Understanding and Overcoming Misophonia” (Misophonia Institute) を中心に

本稿はミソフォニアと呼ばれる病気に関するノートです.これは特定の音を聞いたとき,反射的に強い怒りや不安に襲われる神経学的な異常とされています.

主に文献
Dozier,T,H. (2017). Understanding and Overcoming Misophonia, A Conditioned Aversive Reflex
Disorder Second Edition, Published by Misophonia Treatment Institute.
を参照しつつ,ミソフォニアについてまとめます.
特に重要な点を要約すれば以下.私を含めミソフォニアの当事者本人は大抵自覚していないけれど,トリガー音に対する否定的な感情が現れる前に実は特定の筋肉の収縮のような身体的反応が起きていることが分かっており (!),これがミソフォニアの理解と治療の鍵となる可能性があります.この仮説は奇しくも,一般に感情は先行する無意識的な身体の反応を脳が“感知する”ことで“生み出される”のではないかという,脳・神経科学的な見解とも整合しており,興味深いものがあります.なお,このような知見に基づくミソフォニアの治療法の有力な候補として,PMR (漸進的筋弛緩法) や NRT (Neural Repatterning Technique) が挙げられます.

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